欠陥住宅では火災保険金がおりないの?

注文住宅を建てると火災保険に入ることになるでしょう。住宅の損害を補償してくれる火災保険ですが、保険金が支払われないことがあります。保険金が支払われないケースのひとつが欠陥住宅です。ここでは、欠陥住宅における火災保険金の取り扱いについて、まとめました。家を建てる前に確認しておきましょう。

結論、火災保険金はおりない可能性がある

火災をはじめ、水漏れ、落雷などによる建物・家財の被害に対して補償を受けられるのが火災保険です。しかし、補償の可否は損害の原因によります。一般的に火災保険で補償されるのは、偶然な事故や地震など大規模な災害を除く自然災害です。

欠陥住宅は、火災保険の補償の対象になりません。

たとえば、雨が欠陥部分から入り込み建物や家財に被害が生じた場合、原因は自然災害のため対象になりそうですが、そもそも欠陥があるため欠陥があることが損害の原因であり、火災保険の補償は対象外になります。構造の不備でねずみ食い・虫食などが起きた場合も、火災保険の対象ではありません。

しかし、欠陥住宅による被害に救済がないということではありません。欠陥住宅の責任は、火災保険ではなく施工業者や売主にあります。引き渡しから一定期間は施工業者等が加入している保険や供託の制度によって保証を受けることが可能です。

そもそも建物の不備なら施工業者等による補償、建物に問題はなく偶発的な事故や災害で被害を受けた場合は火災保険による補償という区別があることを覚えておくと良いでしょう。

火災保険金が支払われる場合とは

欠陥がない住宅の場合、どのような被害が対象になるのかを説明します。火災保険には、対象として「建物」と「家財」があります。一般的に持ち家の場合は、「建物」には加入していることがほとんどです。一方「家財」に加入していないケースは少なくありません。

ここでは、一般的な対象項目を紹介しますが、実際に補償対象になるかは契約内容によるため、事前に確認が必要です。

偶然な事故

補償対象のひとつは、偶然な事故です。「火災」「破裂・爆発」による被害は、火災保険のベースの補償のため、契約内容にかかわらずほぼ付帯されています。破裂・爆発というのは、気体や蒸気が急激に膨張して破裂が生じた場合の損害です。

火災保険で多い事故としては、水漏れがあります。給排水設備の事故も対象になりますが、多いのは上の階で生じた漏水による損害です。また盗難によって生じた損害も対象になっている契約が多いです。家財を補償対象として契約していれば、盗まれたものも対象になります。盗難時に建物を損壊された場合は家財保険に加入していなくても損傷・汚損部の補償を受けられます。

他に、物体の落下・衝突、騒擾、破損・汚損などが偶然な事故として補償対象範囲に含まれます。

自然災害

自然災害も火災保険の補償対象です。特に多いのは、落雷の被害です。「落雷」も「火災」「破裂・爆発」と同様に火災保険のベースとなる補償のため、自動付帯されています。落雷によって火災が起きた場合はもちろん、コンセント部が焦げた被害の場合も建物の補償範囲です。また、過電流によってテレビやパソコン、エアコンなどの家財が被害にあうこともありますが、家財を補償対象に含めている場合は補償されます。

他には、風災、ひょう災、雪災、水災が補償対象です。ただし、地震・津波は補償対象に含まれないことに注意してください。地震・津波は、地震保険に加入する必要があります。地震保険は一般的に火災保険の特約です。

火災保険は、補償内容を特約等でカスタマイズして決めるタイプやパッケージ型で提供されているタイプがあります。契約内容によって、補償対象になる事故とならない事故がある点には注意してください。

火災保険の補償対象外になる欠陥住宅を建てないことが大事

火災保険に加入していても、そもそも欠陥住宅だった場合は補償されない可能性が高いです。火災保険には見舞金の特約もありますが、見舞金も欠陥住宅は対象外になると考えられます。欠陥住宅は施工業者等に修繕の責任があるものの、損害が発生した場合にどこまで補償されるかは分かりません。欠陥住宅を建てないように予防策を講じておくことが大切です。また、万が一、欠陥住宅と分かった場合は、自分で対処するとこじれるおそれがあります。早めに弁護士に相談するようにしましょう。