宅地造成が行われてる土地は、もともとの平地と比べて地盤が緩くなっていますので、建物を建てる際には十分な地盤調査を行い、軟弱な部分は改良しなければ不同沈下が生じるおそれがあります。ここでは不同沈下の発生する原因及び、施工業者に追求すべき点などを紹介しています。
不動沈下とは、地盤の一部が歪んだ影響で建物がふぞろいに沈下してしまう現象のことを指します。この現象により、建物に傾斜が生じてしまい、様々な問題が起こります。地盤沈下も似た言葉として思い浮かべる人もいますが、こちらは地盤が均等に沈下するため、建物の沈下も均等であり、建物の傾斜は発生しません。
不動沈下が起こった場合、建物の荷重が1箇所に集中して構造材に大きな負担をかけてしまったり、ドアや窓の開閉がスムーズにできなくなったり、壁やタイルに亀裂が生じるなど建物自体への様々な影響がありますが、住んでいる人にもバランス感覚の狂いなどで影響を及ぼして吐き気やめまいなどの症状を引き起こすおそれもあり、問題になっています。
丘陵地など、もともと傾斜のある場所で宅地の造成する場合には、土地を平らにするために斜面に盛り土をしたり、土を削る切り土と言われる作業を行います。
同じ敷地内に切り土をした部分と盛り土をした部分が混在する事もあり、地盤の硬度が一定でなく、比較的強度が低い盛り土部分の地盤の緩みによって不同沈下が発生するおそれがあります。
十分な締固めができていない地盤の上に、アンバランスな建物を建ててしまうことで不同沈下が起こることもあります。また、近隣にビルやマンションなどの大型建造物が建てられた場合にも荷重のバランスが崩れて不同沈下を引き起こすおそれがありますので、注意が必要です。
地中に防空壕の跡や、埋まっていた浄化水槽を撤去することで広い空間ができている土地の場合、埋め戻し作業を行う必要があります。その際に埋土や盛り土の締固めが不十分であったときには、その部分で沈下が生じるおそれがあります。
締固めは土を強くするために行われますが、不同沈下を起こさせないためには、最適含水比や土の中の空気を追い出すなど、作業上での注意点があります。
不同沈下が起こってしまった際、施工業者には契約不適合責任を理由として、どのような責任を追及することができるのかをまとめています。
履行の追完とは、引き渡された目的物が、品質や数量など契約内容に適合していない場合に買主から売主に対して、目的物の修補や代替物および不足分の引き渡しを請求することを指します。
引き渡された土地で不同沈下が起こった場合には、施主は施工会社や売主に、土地の造成工事のやり直しや、不同沈下による建物の補修を無償で行うよう請求することができます。
期限を定めて履行の追完請求を行ったにもかかわらず、期間内の追完がなされなかった場合に不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができます。不同沈下による土地の造成工事のやり直しを施工会社が拒否したり、何らかの理由で不可能な時には一定期間の催告なしで、直ちに代金減額請求をすることが可能です。
不同沈下によって施主が損害を被った場合には、施工業者に対して、造成工事のやり直し費用、不動産の価値減少分、不同沈下による建物の補修費用、不同沈下に起因する慰謝料などの損害賠償請求ができます。
施主が相当期間を定めて行った履行の追完に施工業者が応じなかった、あるいは十分な補修がされなかった場合、売買契約または請負契約を解除して、代金の返還を請求することができます。
しかし、不同沈下を含む債務不履行の程度が契約・取引上の社会通念に照らして軽微である場合には、解除が認められないケースもあります。
参考元:e-Gov
https://www.e-gov.go.jp/
不同沈下が生じないようにするためには、適切な造成工事を行う業者に施工を依頼する事が大切ですが、生じてしまった場合には、一年以内に施工業者に通知を行わなければなりません。期間制限が短く、複雑な建築訴訟は個人で解決へ進めるのは難しいので、弁護士への早期の相談が必要です。