仕様書と異なる注文住宅になったら?

注文住宅を建てる際に重要な書類となる仕様書。図面だけでは分からない細かい情報をまとめた書類が仕様書です。ここでは、仕様書の意味や概要、仕様書と異なる施工が行われた際の対応について解説しています。

注文住宅における仕様書とは

注文住宅を建てる際には、設計図とは別で仕様書という書類を作成します。以下、仕様書の意味や注意点について確認しましょう。

仕様書について

仕様書とは、図面だけでは分かりにくい様々な情報に関し、文章や数字などで記載した書類です。具体的に記載される情報としては、たとえば外壁でしたら次のようなものです。

  • 資材(種類・名称・メーカー名・品番・寸法など)
  • 塗装(方法・色・形状など)

図面のみでは明示できないこれらの細かい情報について、外壁や屋根、外構、内装、キッチン、トイレなど、家のあらゆる部分を対象に細かく記載したものが仕様書です。

通常、設計図と仕様書はセットで取り扱われますが、これらセットのことを「設計図書」と言います。

仕様書がないときは契約しない方が良い

仕様書を含めた設計図書は、住宅の注文内容を正しく工事に反映させるための重要な書類です。設計図書が存在しなければ、施工を受注した工務店は施主が望む家を正確に建てることができません。

そのため、通常は工務店と建築工事請負契約を締結する際、契約書類の中に仕様書を含めた設計図書を添付する形となります。

もし仕様書が作成されていない場合、そのまま契約を締結すると施主が想定した家に仕上がらない可能性があるため、いったん契約を保留しましょう。また、仮に仕様書等が用意されていたとしても、施主の希望がしっかりと反映されているかどうかをプロに見てもらい、問題がないことを確認の上で契約を結ぶようおすすめします。

依頼と異なる仕様になっていたら?

施主の希望が正しく反映された仕様書がある中、もし仕様書とは異なる施工が行われていることに気づいた場合には、気づいたタイミング別で次のような対応を取りましょう。

施工中

施工中に仕様書との不整合に気づいた場合には、施工の責任者に対して速やかにその旨を伝えましょう。同時に、仕様書通りに修正するよう求めましょう。

施工内容と仕様書との違いは、実際に現場へ足を運ばなければ発見できません。本業で多忙な中かもしれませんが、一生涯の大きな買い物である以上、可能な限り時間を作って現場へ足を運ぶようおすすめします。

施工中に仕様書との違いに気づけば修正も容易ですので、一般的には大事になることはありません。

引渡し直前

家が完成し、引き渡し直前に現場でチェックしている際に仕様書との違いを見つけた場合も、施工業者に指摘の上で修正を依頼しましょう。

この段階ではすでに家が完成しているため、施工業者は修正を渋るかもしれませんが、施工業者には仕様書に沿って家を建てる義務がある以上、修正にも応じる義務があります。

なお、仮に施工業者が修正に応じたとしても、その作業に要する時間が必要なことから、引き渡し時期の延期は避けられません。もし引き渡しの延期を避けたい場合には、施工業者との間で価格交渉(減額)を進めることも一つの方法となります。

引渡し後

引き渡し後に仕様書との違いを見つけた場合は、契約不適合責任を根拠に施工業者へ修正を依頼します。

契約不適合責任とは、契約内容と提供されたサービスの内容に違いがあった場合、サービスを提供した側が負う責任のことです。仕様書と実際の仕様が異なる場合、施主は施工業者に対して修正を依頼できます。また、修正ではなく減額を求めたり、状況次第では損害賠償や契約解除を求めたりすることも可能です。

施工業者が修正・減額に応じない場合には法的手続きで解決を図る

仕様書とは、図面だけでは分からない細かい情報を文章・数字などでまとめた書類のことです。仕様書がない場合、または内容が曖昧な場合には、施主がイメージする家にならないおそれもありますので注意が必要です。

また、正しい仕様書が存在したとしても、施工内容と仕様書の内容に違いがあった場合、施主は施工業者に対して修正や減額などを求めることができます。もし、これらの求めに応じてもらえない場合には、弁護士に相談して調停や裁判などの法的敵続きで解決を図るようにしましょう。