購入した家が欠陥住宅であると判明した場合、損害賠償請求の相手は、欠陥を知ってからの期間や欠陥の原因となる行為があってからの期間により異なります。欠陥住宅について、相手に瑕疵担保責任を問う場合と不法行為責任を問う場合の違いについて確認しておきましょう。
住宅における瑕疵担保責任とは、一般的に備わっているはずの品質・性能が備わっていない場合、または契約によって得られたはずの品質・性能が備わっていない場合に、住宅の売主に生じる責任を言います。買主が欠陥住宅であることに気づいた時点から1年以内に、売主に対して損害賠償請求を求める形となります。
ここで注意したい点は、あくまでも損害賠償の請求相手は、住宅を販売していた「売主」であるということ。施工会社や設計事務所などには、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求をできない点を理解しておく必要があります。たとえば、新築注文住宅であればハウスメーカーなどを相手に、中古住宅であれば住宅の前オーナーを相手に瑕疵担保責任を問う形となります。
なお、中古住宅の瑕疵担保責任の期限は、1年ではなく1~6か月程度と設定することが通例です。
欠陥住宅について、瑕疵担保責任ではなく不法行為責任を根拠に賠償責任を問う方法もあります。
不法行為とは、故意または過失によって他人の権利・利益を侵害すること。欠陥住宅についてもこの概念が該当するため、不法行為を根拠に損害賠償責任を追求することができます。なお、不法行為責任は、売主ではなく設計や工事を担当した者が負う形となります。
不法行為責任の請求期限は次の通りです。
(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
引用:e-gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089)
欠陥住宅であること、および不法行為の加害者を知ったときから3年、不法行為が行われたときから20年が、相手に対して不法行為責任を問える期間となります。
購入した家が欠陥住宅であると判明した場合、瑕疵担保責任か不法行為責任の追求により損害賠償請求を行うことができます。ただし請求できる期間には期限があるため、欠陥の事実を知った時点で速やかに弁護士へ相談することが望まれます。